大下弘の三つの教え
埼玉西武ライオンズが西鉄ライオンズだった時、今から60年も前の話です。
後の大投手・稲尾和久が入団一年目のとき、大先輩であり大スターである大下弘に連れられて初めて遊廓に遊んだことがあった。着くなり大下は稲尾を放っておいて一人楽しみ始め、稲尾もそれなりに楽しんでいると、一人の遊女に次のようなことを言われたという。
「大下さんの三つの教えいうの、知ってはりますか?」
これに稲尾は素っ気なく知らんと答えると、遊女はその三ヶ条を教えてくれた。
「一に、結婚する気がないなら、素人の女性とは絶対シてはいけない。
二に、遊廓では何があってもお金を払う。
三に、どんな女性でも絶対お金はもらわないこと。
この三つをさへ守れば一人前と言っておりましたよ」
稲尾はその考えに感服し、その教えをキチンと守ったという。
「飲む打つ買う」「宵越しの銭は持たない」という言葉が何よりも似あう西鉄選手たち。
その選手たちの中でも一番の遊び人として知られていた大下が、上のような三ヶ条を作っていたのは、本人が年齢に似合わない純粋無垢で温厚な性格であったからこそだと思います。
何度か失敗はしたらしいですが(笑)